お帰りなさいませ!ご主人様。

「お帰りなさい、ご主人様」。私がメイドで店を借りていて、そこに、突然その店のオーナーのご主人様のあみだ様が帰ってきた。

 それまではこの店が薄々ご主人様のものだと思っていたが、本物のご主人様が突然帰ってきて、立場が逆転してしまったのだ。

 取り繕っては見たものの、ご主人様の服装はやはりご主人様の立派な服装で、私はメイドの職業服でご主人様に仕えるお給仕係の凡夫服だったと、今更ながら自分の立場がよく理解できたのだ。

 てっきり、その店を追い出されると思っていたが、共同営業でいいよと言われたのだ。私はあくまでもメイドでご主人様は私の主体的な人物としてのご主人様に違いがなかったのだ。

 私が出会うすべてのものをご主人様として、私の真の主体として迎え入れることが出来たら、私も真の主体になることが出来るようになるのだろう。これはまるで禅宗の十牛図のような話だな。
なんまんだ。

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