先立つ我が子は善知識なり

 死んだあの子は文句の一つも言わずにサヨナラ、またね、と死んでった。まるで観音様のように静かな笑みだけ残して死んでった。立派な仏様になったのに、それを認めず恨んで文句ばかり言っている私は鬼のよう。
 あの世に行った子供の足を愛の金鎖で引き戻す。文句ばかり言っている私は鬼なんだ。鬼の世界にもう一度帰って来い。
 もう一度、遇ってこの鬼の胸にしっかり抱きしめたいなんて、高望みだったんだ。観音さまだから一度はここにこようとも、真っ赤に染まった鬼の両手からスルスルすぐ抜ける。観音様だからこの鬼の手では懐けない。
 生きているときに観音様だったから鬼の言う事も何でも聞いてくれる仏様になったんだ。
 鬼の私を、あっちでとうとうご縁でしたと、子供にしてくれてありがとうございましたと、拝んでくれているんだな。

なんまんだぶつ
なんまんだ

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