諸行無常はあみだ様。

 現代人は頭で歩いてる。足は天に向かっている珍しい動物になってしまったな。

 それを見ていた魚や、亀やウサギやキリンは、早く足で大地のリズムを感じて走り、天に頭を向けて、大きく息を吸って、俺たちと同じように歩き、泳いでくれと人間たちに願うように悲しげに泣いている。

 いつから人間だけが逆さに歩くようになったのか。お盆の「ウランバナ」でもあるまいし、空から逆さ吊りにされていることさえ気づかないでこの世を平気で歩いてる。

 真実の大地に足が付いていないからそこに触れて一歩も思うように歩けていないままだ。真実の味が分からないままだ。

 全員逆さで歩いているから、誰も気が付かないし、物を見る価値観さえもみな同じ逆さまだ。

 どうしたら自分が逆さまだと気づくのか。それは綱が切れて大地に叩き落ちた時。初めて自分が吊るされていたことに気がつく時。
 
 宗教心もその時はじめて目覚めて真実の大地を歩みだす。

 その時から足の裏から毎日毎日死ぬまで真実の息吹が染み込んで、一歩一歩、真実の終わりの扉に近づいてゆく。

 諸行無常四苦八苦が私を縛り上げ吊り下げている逆さの人生の綱なんだ。

 それがなければ命の大地に落ちることもなかったからな。

 それはつらく悲しいものだけど、それのお陰でほかの動物たちと同じ命の大地を歩むことが出来た大恩人でもあったんだ。

 諸行無常はあみだ様に違いない。

 私を仏にまでさせてくれる悪魔のような大天使だったに違いない。だから諸行無常はなんまんだぶつに違いない。

なんまんだ。

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