人生の味は秋刀魚の味

 人生に意味はないと言うが、意味とは心の味わいと書くから、それだけで味のない人生だったと言う事になってしまう。

 人生の本当の味とは乾ききった砂漠で飲む冷たいオアシスの水のようなものなのかもしれない。

 当たり前のように生活していると何事にも慣れてしまって、一杯の水に感謝することもないようになる。

 ただ人生に本当に味のある水は宗教水と言うか、今までの人生で一度も飲んだことのない水だから飲んでみないと分からないようになっているから困ったものだ。

 だけど、こんなに人間の歴史が長いのだから、一度も飲んだことのない人でも心の遺伝子のどこかに刻まれているのかもしれないから、どこか懐かしい魂の故郷のような味がするのかもしれない。

 だから、意味を探して見つけた人には人生に意味があるが、ない人には永遠にないのだろう。

 秋刀魚を食べながら考えた。

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