高上りの優越感に浸っていると、自分が引き落とした人に、いつどこで引き落とされるのか戦々恐々の不安が絶えず夢にまで襲ってくるのだろう。高く上がれば上るほど。多くの敵と戦って負けてしまった相手に叶わないと劣等感に襲われて生きていると、いつでも相手の足を引っ張っていたいと思っているけれど、何時も足蹴にされているような生き方を夢にまで見る。
 優越感は仏教の増上慢、劣等感は卑下慢でどちらも己だけを善と良しとする慢心に違いない。どちらも結局は人間の根本的な苦悩の一つに違いない。
 それに気が付かせてくれるのが慈悲と智慧の仏様。その二つの光に照らされてあ―あ、いまのは卑下だ増上だと気が付けば、もうそれだけで気が晴れる。そしたら、もうどうにでもなりやがれ、と念仏におまかせすれば、心晴れやかナンマンダになるだろう。

なんまんだぶつ
なんまんだ

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