目を瞑る。

 弱ってきたこの目は、楽しいことや泣けることや、辛いことや、どうしようもないことや、びっくりすることを沢山見てきて、ついに見えなくなってきた。もう見たくないという事か。

 もうなにも見なくてもいいという事なのか。

 仏様は半眼で半分開けて衆生を思い、自らの悟りの完成を願っている。半分は衆生の悲惨な生き方に目を瞑っていられないが、もう目も当てられないからかもしれないな。

 私はそれでも見るべきものを見てきたか。見なくてもいいものばかりだったのか。

 う〜ん。どっちも見てきたのだろうな。仏も自分自身もな。
だからもう何も見なくてもいいのだろうな。
最後に美しい今日の夕日を見て目を瞑ろうか。
なんまんだ。

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